2018年新入社員調査より 今年の新入社員は何を求めているのか?

執筆者情報
ソリューション統括部
事業開発部
研究員
小松 苑子

今年の新入社員は、何を大切にして働きたいと思い、どのような期待と不安を持っているのでしょうか?弊社では、毎年、新入社員に対して意識調査を行っています。本調査は、新入社員の期待や不安などに関する5つの質問についてそれぞれの選択肢のうち、あてはまるものを最大3つまで選択する形式で行いました。
2018年3月22日〜4月17日に、全国各地で開催した新入社員導入研修「8つの基本行動」の当該期間での受講者1278名(平均年齢:22.4歳/男女比:約6対4/最終学歴:大卒以上83.8%/300名未満企業比率:62.5%)を対象としています。


仕事に直結するものが大事!?

はじめに、今年の新入社員は、社会人として働いていく上で何を大切にしたいと思っているのかを見てみましょう。

昨年と同じく、「社会人としてのルール・マナーを身につけること」「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」が1位・2位となりました。

1位の「社会人としてのルール・マナーを身につけること」の選択率が昨年から3.5ポイント下がっており、2010年の調査開始以来、最低値となりました。
一方、2位の「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」は、過去5年間で3.2ポイント上昇しており、調査開始以来最高値となり、1位とのポイント差を縮めています。
以上のことから、今年の新入社員は、目の前の仕事を進めるために必要なスキル・知識への意識が高いことが窺えます。

受け入れ側としては、そのような新入社員に対してルールやマナーを教えるときは、仕事を進める上での必要性を伝えるなど、現実に引き寄せながら教えると、より納得してルールやマナーを習得できるかもしれません。

個性が尊重される職場にいたい

次に、今年の新入社員はどのような職場で働きたいと思っているのかを見てみましょう。

昨年と順位は変わらず、「お互いに助けあう」「アットホーム」は、この5年間で不動のトップ2となっています。
注目すべきは、3位の「お互いに個性を尊重する」が調査開始以来最高値となり、5年間で10ポイント以上上がっていることです。
また、「皆が1つの目標を共有している」はこの5年間で10ポイント近く下がっており、「お互いに鍛えあう」も、昨年に引き続き最低値を更新しました。

同期や同僚と鍛え合い、切磋琢磨しながら同じ目標に一丸となって進む体育会系の職場よりも、アットホームで互いの個性を尊重しながら助け合う職場が支持される傾向が、ここ数年でさらに強まっているようです。

受け入れ側には、均質さ・画一さを要望したり、一方的に上意下達で動かすのではなく、個人のペースや考えが尊重され、一人ひとりの力を生かすことができるような職場づくりが求められているといえそうです。

受信力のある個別指導型の上司が理想

続いて上司に期待することを見てみましょう。

こちらも全項目、昨年と順位は変わっていません。
5年間の変化では、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」や「仕事に情熱を持って取り組むこと」が下がっていることから、近年の新入社員にはエネルギッシュな熱血上司は求められなくなっているといえそうです。

一方、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」は不動のトップで、「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」や「よいこと・よい仕事をほめること」の選択率は5年間上昇し続けています。このことから、新入社員にとっては、個人の考えやよい面を受け止める受信力があり、ティーチングとコーチングの両立ができるような、個別指導型の上司が理想といえそうです。

研修場面でも、厳しい指摘やフィードバックから学ぶ受講者は以前から存在する一方で、できるようになったことを承認することでぐんぐん力を伸ばしていく人が増えている実感があります。また、全体の場ではなかなか手が挙がらなくても、一対一で耳を傾けてみると、しっかりと意見を持っていると感じることがあります。受け入れ側として、傾聴と承認、ティーチングとコーチングを意識的に積み重ねていくことが、新入社員の潜在的な力を発揮させることや、能力を引き上げることに繋がりそうです。

やっぱり、マナーよりも……?

では、今年の新入社員が「これから身につけたい力」を確認したいと思います。

今年も「コミュニケーション力」が大差で1位、次いで「専門知識」が2位となっています。
注目すべきは、昨年3位だった「マナー」が4.8ポイントも下げて順位を5位に落とし、「プレゼンテーション力」と「PCスキル」の選択率が上昇している点です。
Q1で、「社会人としてのルール・マナーを身につけること」の選択率が大きく下がったのと同様、今年の新入社員は例年以上に「マナー」よりも、目の前の仕事に直結することへの関心が強くなっていることが分かります。

しかし、多様な世代やステークホルダーと仕事をする上で、マナーが求められることは必至です。受け入れ側として、例えばマナーの重要性を目の前の仕事と紐づけるなどして、最低限のビジネスマナーはきちんと教えていくことが必要でしょう。

“自分”に合っているかを気にする

最後に「仕事・職場生活をする上での不安」について見ていきたいと思います。

例年通り、「仕事についていけるか」が1位ですが、選択率としては調査開始以来最低値を記録しています。さらに、2位以下で注目すべきは、「上司とうまくやっていけるか」が昨年から4ポイント落としていることと、「十分な収入が得られるか」「やりたい仕事ができるか」「会社の風土が自分に合ったものか」が、調査開始以来、最高値を出していることです。

今年の新入社員は例年に比べると、仕事の習熟度や上司との関係性もある程度気になってはいるものの、収入や仕事内容、会社の風土など、入社後の環境・条件が自分にフィットするかを気にする傾向があるといえそうです。

受け入れ側としては、新入社員がイメージしていた仕事や職場の環境とギャップがないかを確認しながら、将来どんな仕事をしていきたいのかを理解した上で、目の前の仕事やスキルの意味・価値を本人に感じてもらったり、考えてもらったりするようなかかわりが求められるでしょう。

さいごに

以上、最新の調査結果から、今年の新入社員の特徴と、受け入れ側の工夫などを解説してきました。

今年の新入社員は、知識やスキルへの関心が強く、個性が尊重される職場を求め、環境・条件などが自分に合っているかを気にする傾向があることが分かりました。

そんな新入社員に対して、傾聴・承認、仕事やスキルの意味づけなど、個に応じたかかわりが上司や先輩には求められています。とはいっても、限られた時間のなかで人材育成という答えのない課題に向き合い続けることは、容易ではありません。しかし、新入社員を効果的に成長させ、いかに組織の力にしていけるのかが、企業のサステナブルな成長の鍵であることもまた事実です。新入社員の個性が生かされ、伸び伸びと力を発揮でき、社会人として活躍する日が来ることを願っています。

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